感想


今回でコンテストに出すエンジンを作るのは11作目(学生の頃を合わせると12作目)で、もうずいぶん作ったように思うのですが、新 しいエンジンを作るたびにスターリングエンジン設計の奥深さを感じさせられます。特に今回はそう思いました。最後に出来上がったのはロス機構を2つ組み合 わせたエンジンで、再生器のエッチングプレートが大きくなったこと以外あまり目新しく見えませんが、様々な試行錯誤で今年は2種類のエンジンを作ることに なりました。1機目は大失敗で妻にも同情されるほどのものだったので、まだまだ模型スターリングエンジンの設計が分かっていないと痛感しました。

1回目走行中


一昨年から採用していた2つのエンジンの動力をギアでつなぐ方式は、エンジンの振動低減を狙って導入したものでしたが、フライホイールを積まない慣性の小 さいスターリングエンジンには不向きであることが分かりました。昨年のエンジンでは2つのエンジンをつなぐギアの磨耗が激しかったのですが、当初私はギア の歯面強度が不足しているためと考えていました。そこで昨年までよりもモジュールの大きなギアに変更したところ、磨耗は減ったもののエンジンがスムーズに 回らなくなりました。スターリングエンジンは1周のうち約半分は負のトルクが働く区間ですが、そこでギアのバックラッシュ分だけ相対的に逆転していたよう です。バックラッシュが小さいうちはそれでも何とか回っていたのですが、歯の大きなギアに変えて隙間が増えるとその影響が致命的になったのです。


加熱中

また、エンジンの圧縮比を高める狙いでエンジン内部に断面積の小さすぎる部分を作ってしまい、回転数が上がらないという問題にも直面しました。エンジン各 部の設計は自作の熱流体シミュレーションツールを使って行っていますが、狭まり管の損失計算精度が低かったようです。これまでもシミュレーションツールは 使いながらも、予測精度の限界を考慮して最後は空気の気持ちになって各部の形状を決めていたのですが、シミュレーションに頼りすぎたと反省しています。


走行中2


1回目の走行時にはエンジンのねじが緩んで途中で止まってしまうという失態を犯してしまいました。コースの周り一杯に見に来てくれた人たちの前で恥ずかし い思いをしたので、来年は抜かりのないようにしたいと思います。

今回は大会役員、それもRCクラスの責任者をやりながらの出場だったのでいろいろと気を遣いました。特に1回目走行後の修理をしながら大会を進めるのは大 変でした。RCクラスの競技進行を手伝ってくれた茨城県立中央高校の皆さんには感謝しています。

RCクラスのマシンも完成度が上がってきました。昨年は搭載したものの役に立てられなかった変速クラッチも今年は機能させられました(動画でエンジン音を 聞いてみてください)。目標である電動RCカーとのレースに向けてまた一歩近づけたと思っています。

2010年11月22日

チームスタッフ紹介

第14回スターリングテクノラリー記録

第14回スターリングテク ノ ラリー参戦記