TF2RH1エンジンの熱流体シミュレーション


スターリングエンジンを設計する上で最も重要なのは熱交換器の設計です。しかし、エンジンの内部の状態を正確に予測することは非常に難しいので、ある仮説を立てて簡略化したモデルで計算をしています。

下の3つのグラフは、TF2RH1エンジンを設計する際に使用したエンジン特性シミュレーションの結果です。TF2RH1エンジンでは熱交換器にハニカムパイプを使用していますが、ハニカムパイプを何本並列にするのが良いのかを検討しました。

シミュレーション条件
項目
設計値
エンジンボア径
20.3mm
ストローク
11.3mm
ヒータ温度
700K(423℃)
クーラ温度
300K(27℃)
ハニカムパイプ形状
内径φ0.8mm×19本
ハニカムパイプ長さ
130mm

ハニカムパイプ1本の結果

ハニカムパイプ2本の結果

ハニカムパイプ3本の結果

シミュレーション結果

最高出力
最高出力時の回転数
ハニカムパイプ1本
1546mW
1200rpm
ハニカムパイプ2本
2300mW
2400rpm
ハニカムパイプ3本
2544mW
3600rpm

ハニカムパイプが1本の場合より2本の場合の方が最高出力が約50%高い結果になりました。つまり、1本では十分な熱交換能力がないことを示しています。

しかし、ハニカムパイプを3本にしても2本の場合に比べて最高出力は約10%しか高くなりません。また、最高出力が出る回転数も高くなります。

ハニカムパイプの本数を増やすと均一に加熱しにくくなることや、回転数が高くなると共振を外す設計が難しくなるため、ハニカムパイプ2本が最適と判断しました。

ロス機構計算シート

Mirabell部品表

第6回スターリングテクノラリー優勝エンジンTF2RH1