感想テクノ ラリー出場して表彰されなかったのは初めてです。しかし悔しいという思いはなく、狙った結果は出せたと思っています。 昨年
作ったGoraは、お湯と氷で空気大気圧でも出力を取り出せることを示した画期的なエンジンでした。しかしやりきれなかったこともいくつかあり、エンジン
として、ラジコンカーとしての完成度は今ひとつでした。そこで今年はGoraを改良してどこまで完成度を高められるのかにチャレンジしました。(既にお分
かりの方もいらっしゃるかもしれませんが、今年のエンジンKigaは、「木賀」であり、強羅に近いということから名づけました。決して「飢餓」ではありま
せん。)
そこ で、今年は三つのことに取り組みました。一つ目は結露対策、二つ目は熱機関としての最適化、三つ目はラジコンカーとして完成させることです。 一つ目
の結露対策は、すべての摺動部を高温側に配置することで完全に解消されました。Gora設計時にはこの問題を予測できず、現象の解明にも手間取ったため設
計変更が間に合わず、テクノラリーでは走行前にエンジン内の空気を乾燥させて対処していました。昨年のテクノラリーの時点で原因はほぼ結露だろうと考えて
いましたが、Kigaの設計でそれが正しいことを証明することができました。
二つ目
の熱機関の最適化は、思ったほどの成果は上がりませんでした。シミュレーションと実験の両面から、再生器やストロークをいろいろ変えてみたのですが、結局
昨年のエンジンより回転数を上げることはできませんでした。昨年の時点ですでに最適な設計になっていたのかもしれません。(こういうときには大きな発見が
隠れていることが多いのですが。)
三つ目
のラジコンカーとしての完成度についても、一つの完成形が示せたと思います。昨年のGoraはクラッチがなかったので、エンジンを回したら走りっぱなし、
テクノラリーには困りませんが、ラジコンカーとしては未完成でした。今年はフリクションディスク式の無段階変速機を搭載し、前進、停止、後進ができるよう
になった上、緩い坂道なら登れるようにもなりました。今年のコースは路面が荒く、起伏もあったので、この機能は役に立ちました。
改良は まだまだできますが、お湯と氷で動かすスターリングエンジンの基本の型はできたのではないかと思っています。 熱源が
バーナーのRCクラスなので記録は望めませんが、昨年よりも難しい走路でもタイムは向上しました。熱を逃さない断熱構造を強化したりロス機構を釣り合わせ
て振動を減らしたりした効果が出たのだと思います。
結露を 気にせず回せるようになったので、今年は出走後記録会終了までかなり長い時間エンジンを動かして展示することができました。多くの方に見ていただき、お湯 と氷から取り出せる動力の可能性を感じていただけたのではないかと思います。 次の設計に向けて、アイディアを温めているところです。もう少しお湯を熱源にしたスターリングエンジンの可能性を掘り下げて 2022年11月14日
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